2004年10月05日(火) [過去の今日]
前編はこちら 。
この手の情報を出してくれるのはやはりマクラーレンか。マスコミの取材大好きだな、このチーム。記事内容はとくに見るべきものがあるわけでもないのだが、モーターホーム(記事中では「エンジニアトレーラ」)と本社の間がxDSLで結ばれてるというのが個人的に興味深い。たいていのサーキットはど田舎にあるので、こんな回線が通るとは思ってなかった。ホンダの第三期F1が始まった頃は、まだISDN回線を十数本束ねたものを使っていて、やっぱりxDSLじゃ安定しないのかと思っていたのだが。
もう一つ興味深い一文はこれだ。
モータースポーツにおいて「メカニック」が「エンジニア」と呼ばれるようになって久しいが、彼らは文字通りITエンジニアでもあるのだ。
言われてみればそうだ。今はどこのチームも「エンジニア」と呼び、「メカニック」とは言わない。恐らくチーム内にもけっこうな腕前のプログラマーがいるのだろうなあ。
昨日、やはりF1ファンの人と電話で話をしていたのだが、フェラーリの強さはこういうプログラムが書けるエンジニアの存在じゃないだろうかという推測をした。恐らく自分たちのマシンだけでなく、ライバルのマシンのラップタイムの変動までをシミュレートし、展開にあわせてピット戦略をリアルタイムに弾き出してるに違いない。そして、たぶんそういうアイディアをプログラマーに伝えてるのは、ミハエル・シューマッハ本人ではなかろうか。
ミハエル・シューマッハはそんなにコンピュータに詳しいわけでは無いだろうが、そういう人間のほうが柔軟で斬新なアイディアを出すことはままある事である。そしてそうしたアイディアを実現する力を持ったエンジニアがいれば、それこそ鬼に金棒であろう。そんな魔法のような技術は無い、と思われるかもしれないが、エンジニアの最高峰の称号は"wizard"、「魔法使い」なのである。フェラーリがこういう魔法使いを抱えていることを、俺は確信している。
80年代、ホンダが持ちこんだテレメトリーシステムが、ホンダを最強たらしめた。情報革命の時代である。90年代、ルノーV10というパワーよりバランスを重視したエンジンが最強を誇った。天秤の時代である。そして今、21世紀最初の10年という時代を作っているのは、恐らく「魔法使い」を擁しているであろうフェラーリ。魔法の時代のただ中に、我々は立っているのかもしれない。
(@952)