2005年01月29日(土) [過去の今日]
#2 アラン・ケイのメッセージ
アラン・ケイが出るぞというので、教育テレビのETV特集「これからの科学、これからの社会」を見た。アラン・ケイ博士はパーソナル・コンピュータという概念を生み出した人で、少し前に京都賞を受賞し、来日したことで話題になってた。今回のETV特集はその京都賞受賞者からのメッセージということらしい。
アラン博士が言うには、コンピュータとは人間の知性を拡大するものだと。そして今のコンピュータは量的向上はあっても質的向上は無いと。与えられたアプリケーションを使ってるだけの代物だと。
そのとおりだと思った。コンピュータの一番便利で、一番楽しく、一番醍醐味が味わえるのはプログラミングだ。自分の頭の中にある道具を、コンピュータとプログラミングで実現する。これこそがコンピュータだろう。プログラミングをしないうちはコンピュータに使われてるだけだと、普段も友人に言ったりしている。
ただ、問題はプログラミング環境だ。rubyが使いやすい、perlは便利だ、Cこそがプログラミングだと言ったところで、どれも誰もが扱える代物じゃない。番組中にも紹介されてたが、アラン博士はsmalltalkという言語を開発しており、そこからさらに誰でもプログラミングができる Squeak というプログラミング環境を開発してる。実際に触ったことは無いのだが、見てるとなかなか面白そうである。 IRCクライアント まであるのだなあ。
MS-DOS時代、パソコンを「一太郎」と呼ぶおじさんたちがいたそうだ。OSが貧弱だった時代、アプリケーションランチャとして機能させるのが最も手っ取り早かった。autoexec.batでmenuが起動するようにし、menuには一太郎のようなアプリケーションが登録されていた。Windows時代になって、menuはスタートボタンに取って代わった。複数のアプリケーションをウィンドウシステムで切り替えながら操作できるようになった。しかし、見た目は豪華になり、機能は増えたが、本質は変わってない。
UNIXは操作そのものがプログラミングになるように作られてる。ちょっとしたアプリケーションに応用することも簡単だ。これは俺の理想通りだ。操作がプログラミングに直結する、それがGUIで実現されたときこそ、アラン・ケイ博士が提唱した理想のダイナブックが現れるのだろうと、俺は思っている。
(@620)