狐の王国


2005年01月17日(月) [過去の今日]

#1 「プログラマ35歳限界説」の真偽

興味深いデータだが、着目したのはここ。

ほかの技術者の賃金傾向と比べてどうかといえば、ソフトウェアに従事し、何らかのソフトウェアで実績を挙げているか、資格を有する者の所得は43歳前後がピークになっており、ほかの技術者と比べて2歳前後高い。(中略)ただし、下のほうはきりがない。平均値は高いがピンキリでもある、というのが実態のようだ。ここらへんがたぶん「使える奴には仕事がたくさん回り、使えない奴は雁首並べて失業している」と言う構造を現しているのだろう。

まさしく、 「できるヤツから潰される」 の構造ではないか。

こういう問題提起は一見正論くさい「仕事はそんな甘くないんだ。学生やプータローは黙ってろ!」という言葉によって却下されて来てるのだが、新人さんというのは学生やプータローがなるものだったりする。つまり学生やプータローに「IT業界は頑張れば頑張る程過労死に近付くところなんだ」という認識を植え付ける言葉だったりするわけだ。

ということはIT業界とは、学生やプータローに「就職口が無い、しょうがないからIT業界にでも行くかあ」と思わせる業界であり、新人に「頑張ると過労死させられるからな、クビにならない程度に無能を装っていなくては」と思わせる業界であるということになる。

周囲の技術者を見渡しても、さすがに大学院を出てから就職したような人達は普通に暮らしてるが、そうじゃなければ仕事に忙殺されて身体や精神を病んだり、肉体労働の方が人間らしい暮らしができると転職したりする人達がほとんどだ。

たまに/.-jなんかを見てると、

  1. 将来入るであろうIT業界の過労に怯えながら、それは間違ってると主張する学生
  2. 実際に過労状態にあり、学生に向かって残業や休日出勤は当り前だと説教する下層エンジニア
  3. 残業発生は能力が足りない証拠と思ってるエリートエンジニア(大学院出?)

この三者が微妙に口論してる様子を見受ける事がある。それぞれ住む世界が違うので、口論が決着することもない。エリートエンジニアの世界では能力が足りなくて残業発生するというのも真実だろうし、下層エンジニアの世界では残業も休日出勤もこなさなくては給料が出ないのも真実だろう。学生は情報社会のおかげで両方の世界や主張を聞きかじってるが、まだこの二つの世界が別物であることを知らない(下層エンジニアもエリートエンジニアも知らないんだけどね)。

まあ、結局は就職先に左右されてる気がするな。下請けの仕事ばかりの会社や社員を他社に派遣ばかりしてるような会社は、会社としての立場が低いので、結局顧客や発注元にいいように振り回されてる。そのツケは社員の残業や休日出勤で払ってるわけで、人件費は増大、収入は変わらず。

トヨタのマネジメントの優秀さと、その影にある冷徹な下請け殺しは有名だと思うが、IT業界でも似たような事が起きてるんだろうなあ。幸せをつかめるのは、大手にいるエンジニアだけなのかね。

(@923)

typo:

「3歳5限界説」になってるよーと でかいの から指摘を受けて修正。書いてるときにC-tしたんだろうなあ。Emacsのこの機能は便利な気がする一方、実際便利だったためしが無い気がするのは気のせいか。

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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