2007年05月24日(木) [過去の今日]
#1 DRMのコストを切れ
DRM対ハッカー、もはや業界は降伏するしかない? という記事。
結局のところ、DRMは破られる。決して破られないDRMなど存在しない。それは鍵がかかってると開けたくなる奴がいるからだし、それを止める手段は無いからだ。たとえ法律でDRM破りを禁止したとしても、逮捕前に破り方は流出する。
経営者の立場になって考えてみよう。どれだけコストをかけて作ろうとも、どうせ破られるなら、そのコストに意味はあるだろうか?
現状のCDやDVDは、DRMなどかかってないも同然だ。CDはそもそもそんな仕組みが無いし、DVDにはアクセスコントロールがついてるものの、非常に稚拙なもので、とっくの昔に破られている。DVD-Rの付いているパソコンが1台と無料のソフトウェアがあれば、DVDのコピーはボタンひとつでできてしまう。そういう手法を解説したムック本は書店に溢れてるし、ネットで検索すればいくらでも情報が手に入る。CDに至っては言わずもがなだ。
DVDのアクセスコントロールが破られたのは1999年だ。それでDVDの売上が落ちたかといえば、まったくそうではない。 ITProの過去記事 を見ると、1999年の北米でのDVD出荷本数は9800万本、翌2000年には1億8200万本、2001年は3億6400万本と、倍々で伸びている。
一般消費者というのは、著作利権団体が思うほど悪徳ではない。自分たちが出したお金が、きちんと著作者のもとに行き、また新たな作品を生み出してくれることを願っている。「人は思うよりも善良」なのだ。それがDVDの売り上げにも現れている。
DRM破りにしても、悪意でやってる人は少ないようにも見える。彼等は単に、Linuxでも映画を見たいとか、ダウンロード販売で買った音楽を自分の携帯プレイヤーで聞きたいとか、そんな理由でやってる事が多いようだ。
だったら、最初からDRMなどかける意味は無い。 AppleとEMIの決断 は正しいのだ。今までDRMにかかってたコストを一掃できる上、売り上げは変わらないか、あるいはDRMを敬遠してた層をも取りこんで伸びることだろう。
カジュアルコピーをふせぎたいというなら、むしろ電子透かし技術などで流出元を特定できるようにしておく事の方が、はるかに効果的なのではなかろうか。
(@489)