2007年04月09日(月) [過去の今日]
#1 DRMは我々の権利を侵害している
EMIがDRMフリーかつ高音質に対応、まずはiTunes Store なんて記事があちこちに踊ってるが、さっそく あのACCS の久保田氏が DRMフリーは行きすぎ とか言い出してるらしい。
実際のところ、DRMフリーは音楽に関しては行きすぎとは言えない。音楽の楽しみ方はすでに多様化しており、プレイヤーが多様である以上は需要も多様、それぞれに対応した配信など不可能だからだ。結局AppleがDRMフリーを推進したのも、 欧州での裁判 が原因だろう。iTunes Music StoreとiPodを「抱き合わせ」のままにはしておけなかった。
さて、では放送に関してはどうだろうか。昨年5月の記事だが、 海外から見た“不思議の国”日本の「デジタルテレビ」 という記事がある。これによれば
スライドが表示された瞬間、聴衆はあっけにとられた。日本のデジタルテレビに関する現状が、あまりに世界の常識からかけはなれていたからだ。(中略)
それ以上に聴衆を驚かせたのが、「定まった認可プロセスがない」ということである。
という、まっこと我が国日本の放送利権はどうしょうもない状況で、DRM以前の問題のようである。
しかし、それをおいておくにしても、放送のDRMは我々民主主義国家に住む人々の権利を犯す可能性がある。
それは放送コンテンツを「引用して言及」する権利の侵害だ。俺はこの権利が法的にどういう位置にあるのか知らないが、これは保証されてしかるべき権利だと思う。
DRMがかかったコンテンツは引用のためのコピーもできないし、放送されたらされっぱなしである。だいたい放送によって我々の人権が侵害されたとき、裁判所にどうやって証拠を提出したらいいのだろうか。
奴等は放送を見る大多数の人はそんなことを気にしないと思っている。実際そのとおりだろう。だからといって、我々少数派が黙ってる必要は無い。少数派だからといって無視されるいわれも無い。それに、いつ誰がそのような「少数派」に入るか、わからないではないか。
というわけで、放送に関してもDRMフリーは行きすぎになりそうもない。正直言えば、 /.-jのコメントにもあるように、
そもそも各社の採用しているDRM技術に 互換性がないことが問題なわけで、その原因のひとつがDRMを 構成する技術に特許が絡んでいることが問題なので、 そういうこと言うならまずはライセンスフリーで使えるDRM技術を 提供することに注力するのがいいのではないかとおもう。
フリーなDRM技術であれば個人的にはどうでもいいのである。しかし、言及する権利、引用する権利まで考えると、どう考えてもDRMは受け入れられない。劣化でもなんでもいいから元の映像がわかる程度の品質でコピー出来なきゃ話にならない。
そもそもコピーコストがかからないのがデジタルデータの利点だ。これをどうにかして活かして欲しい。
(@711)