狐の王国


2005年02月02日(水) [過去の今日]

#3 見えない暗喩

アニメ・漫画業界人「名言」スレ からの引用で、

敵だったらいくら殺してもいいわけで、「ロード・オブ・ザ・リング」だってそうです。
敵だったら、民間人でも兵隊でも区別無しに殺していい。誤爆の範囲なんですよ。
一体アフガニスタンの爆撃で何人殺してるんですか?
それを平気でやっている映画が「ロード・オブ・ザ・リング」です。

と宮崎駿が言ったって話。

はて、指輪物語ってそんな話だっけと十代の頃読んだ物語を思い出す。表題のblogでは、ようするにオークやゴブリンは有色人種のメタファなんだとさ。

そうねえ、実際民話だったころはそうかも知れないが、それらをまとめて中つ国という世界観、ひいてはファンタジーというジャンルを生み出した時点で、メタファとしてとらえるのは相当無理があると思うんだけどね。

むしろ、いまだにファンタジーというジャンルに対して差別だのなんだの言い出す事自体が、いわゆる「空想と現実の区別が付いてない」という事になるんじゃないのかね。

モンスターは殺してもいい?:

まあ、我々ゲーマーの間でも、モンスターなら無条件に殺してもいいのか、という議論は大昔からあるにはあった。その一つの答えとして、山本弘とグループSNEの手によるリプレイ「モンスターたちの交響曲」があるのだろう。このお話では「モンスターはモンスターだから悪なのではなく、悪い環境で育てられたから悪なのだ」ということになっている。これも山本弘氏の優しさが溢れてる解釈で、俺も嫌いじゃない。

個人的には熊や猿が人里荒すから悪だというのと同じように、モンスターも悪という解釈でも十分だと思うけどね。邪神の下僕だから、という理由もあった気がするが、それはそれで利害関係が成り立つからゲーム上ではそれでいいだろう。ゲーム上の邪神というのはたいてい物理的な力をもって、主人公たちの世界を破壊しようとするものだからね。

ドラクエなんかが気を使ってるなあと思うのは、モンスターとの戦闘に理由付けがあるところだね。コンピュータ上でのRPGでは、とりあえず出会ったモンスターは殺していかなきゃいけない。なんで殺さなきゃいけないのか、というところの理由付けがなされてないゲームも多いのだけど、ドラクエでは街の人のセリフとして「モンスターが増えて街の外に出られない」「商売にもいけやしない」等々が出てきて、モンスターを排除しなきゃいけない理由付けがなされてる。

もちろんそれでも人間側のエゴなんだけども、利害関係も無く、殺していい存在だから殺すという形よりはずっといい。熊や猿やカラスだって、害があるから殺さなきゃいけなくて殺してる現実がある。メタファだと言うなら、そういう現実へのメタファだと思うね。

(@609)

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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