2003年10月03日(金) [過去の今日]
夏にゲームセンターでジッポーライターを盗まれて以来、100円ライターで煙草に火を着ける日々が続いていた。しかし、煙草を吸わない人には理解できないだろうが、煙草は火で味が変わるのである。100円ライターの火では深みが無い。浅い味になってしまう。また、100円ライターのガスは品質が悪く、着火時にそのガスが微量ではあるが口の中に入って来てしまい、これがなんとも気持ち悪かった。
もっとも香りがいいのは、やはり木のマッチである。マッチの火は香りがやわらかくなり、マイルドで深みのある香りが楽しめる。しかし、このご時勢にマッチを常備するのはもはやめんどくさいし、ゴミにもなる。マッチが無くなると吸えなくなるのも悲しい。
ジッポーオイルの火は、悪くない。癖も無く、煙草の本来の香りが楽しめるように感じる。100円ライターのものよりもマイルドでやわらかい。長年ジッポーを愛用して来た身としては、やはりその味に帰りたいと願っていた。しかし、ジッポーは安いものではない。そうほいほいと買うわけにもいかず、どうしたものか思案していた所、100円ショップにジッポーを模したオイルライターが置いてあるのを見付けた。
さっそく購入してみたが、なんとこのライター、PL法の注意書きとメーカーの連絡先が書かれたシールを、本体に直接張り付けてあるのだ。これをはがすのが一苦労で、取り合えず表面の紙の部分はウェットティッシュでこそぎ落したが、粘着物が残ってしまい、これ以上こすると傷が付きそうで断念した。しかし、これでは見た目も悪いし、手に取った時にべたべたしてしまう。メーカーの商品に対する愛情の無さがわかる出荷状態だ。100円ショップなんぞに流されるはずである。
そこで検索してみた所、見付けたのが 「シールをきれいにはがす方法は?」 というページである。 どうやら世の中には「シールはがし剤」なるものも売られているらしい。こういうものを使えばきれいにはがせるのかと、シールはがし需要の大きさを感じとった。子供が家具に張ってしまったシールをはがしたいなどという場面は、言われてみればかなり多いはずだ。
明日にでもシールはがし剤を買って来ようかと思ったのだが、このページにはまだ続きがあり、シールをはがした後に残る粘着物は、ガムテープで叩くようにしてやると取れるらしい。世の中うまくできたもので、実は100円ショップにはガムテープを買いに行ったのである。さっそく袋の中からガムテープを取り出し、作り手に愛情を注がれずに我が手元に来たオイルライターに叩きつけた。2度、3度はたいした効果が見られないものの、5度、6度と叩くうちにみるみる粘着物が取れていく。そしてあっという間にきれいな金属面が現れたのである。
きれいになった100円オイルライターの火はゆらゆらと不安定で、オイルをいれる時も漏れがあったりと、いかにも安物の火だった。しかし、煙草にその火を近づけてみると、間違いなくあの懐かしいジッポーオイルの香りがしたような気がした。鼻から抜けて行く煙の香りで、それは確信に変わった。100円ライターでは絶対に出せないマイルドな味。ようやくあの香りに帰れたのだ。ああ、買って良かった。
(@590)