狐の王国


2003年01月25日() [過去の今日]

#1 本当の文化はどこにある?

林檎つまみぐい でハッケソした 「もう一つの著作権の話」 は、中高生向けの著作権解説文書らしい。あたりまえのことだが、ダメだダメだと言い続けてるだけでは効果がないわけで、しかし現状ダメだダメだと言うしか無い状況への反省という意味もあるように思える。さすがに中高生向けとあってわかりやすいので、御一読されたし。

先日テレビ放送された「千と千尋の神隠し」も、DVD・VHS版とほぼ同程度に真っ赤な映像だった。俺はこれが嫌だったのでいったんキャプチャして色調補正し、mpegにエンコードしてから視聴したのは前にも言った通り。それでももとのきれいな色にはならなかった。テレビ放送ではついでだということもあって、3〜4台のテレビで見比べてみたが、1台だけ正常な色調で視聴できるテレビがあった。これ以外のテレビでは見るなということか。少なくともDVDで「これが正常だ」と言いきり、テレビ放送でもその主張を通してしまった以上、著作権でこの映画が保護されてる間は、正常な色調で見られることはないのだろう。

そんなおりに /.-jの記事 でも、映画の著作権保護期間を延長するニュースが載っていた。50年から70年に延長することを考えているらしい。「千と千尋の神隠し」が正常な色調で見られるのは、68年後ということだ。俺は生きてる自信が無い。生きてる間に見られないと言うなら、正常な色調の海賊版を見付けたら買ってしまうことは間違いないだろう。法律で禁止? なめるんじゃないよ、著作頒布権を持ってるところがまともなものを出さないのがいけないんじゃないか。

最近、とあるバンドの歌をFlashでアニメ化した作品を見た。その歌は叙事詩的で、嫌われものの黒猫が孤独な絵描きに拾われるというストーリー。歌にあわせてアニメーションを見せてくれる。これがとても感動的で、原曲を探して聞いてみた。ところが、歌だけでは声の聞き取りにくさもあって、ストーリーがよくわからないのである。

最近、特に 2ch 界隈で流れているFlashアニメは著作権を無視した物が多い。楽曲や画像の無断使用がそのほとんどだと思われるが、その中で生まれるものは、すばらしい作品も実に多い。誰かが発信した文化が、また誰かが受け取って新しい文化を生み出していく。これは本当に自然な事ではないか。本来の文化とはこういうものではあるまいか。しかし、法律で禁止されている以上、この本来の文化のあり方を実行するわけにはいかない。作品を作っても発表はできない。発表したらその場で法律違反になる。

だが、これでは文化が消えてしまう。秀逸なパロディも、オマージュも、創作する楽しみも奪われてしまう。自分の著作物だけを公開すればよかろうと主張する方もいらっしゃるだろうが、オリジナルを生み出すということはオリジナルだけを生み出し続けることでは達成できるものではないはずだ。現在、流通してる商業音楽、商業映画を見よ。モーニング娘。の曲はほとんど海外の曲のパロディだし、ディズニーの映画は童話や日本のアニメのディズニー流のリメイクばかりだ。俺はそれが悪いとは言わない。むしろ歓迎していいとも思う。だが我々個人がそれをやったとき、業界が攻撃をしてくるならば、我々は創作活動の場をアンダーグラウンドに求めて行くことになるだろう。匿名ファイル交換ソフトなどの利用である。合法的に文化を楽しめないならば、非合法に楽しむしかない。我々は文化を楽しむことを我慢するなど、できないからだ。

そうして本来、良心的で合法な文化にも金銭が支払われなくなり、文化を発信する企業が一切無くなるだろう。著作権は形骸化し、文化と産業が切り離される時代が来る。著作権を強めれば強める程、著作権ビジネスは崩壊の道をたどるということだ。そして小規模ではあるが本当の文化が、アンダーグラウンドで流れ続ける……

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#2 Joy hack

前記事とも関連するだろうが、純粋におもしろそう *1 だと思うのと同時に、こういうものが普及したらどうなるだろうとも考えた。カラオケ機械を置かずに、マイクとモニタだけ置いてある「防音喫茶」なんてのはどうだろう。今のカラオケ屋はJASRACに「売り上げ」の10%を持って行かれている。10%というのも暴利だが、曲にたいしてではなく売り上げにたいしてかけているところがヤクザな制度だ。それを支払わなくていいと言うなら、やりだす店はありそうである。

(@494)


*1: Takada Bandの歌とか歌いたいなー。俺の好きな曲はマイナーなものが多いので、カラオケにはまず無いのよね。
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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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