狐の王国


2007年06月08日(金) [過去の今日]

#1 「こどものじかん」発売中止は当然のこと

『こどものじかん』北米で発売中止になった経緯。 という記事が気になって、実際に3巻まで買って読んでみた。

内容は、超おマセな小学3年生の女子児童たちが、新人の男性教師に逆セクハラ等々をして困らせる、というコメディ作品。「クレヨンしんちゃん」の女の子版とでも言うべきか。

あまりのマセガキっぷりにリアリティの欠損を感じなくもないが、昨今の性の低年齢化を考えると「シャレになる」年齢はこのへんなのかも、という気はする。もっとも、主人公である新人教師にとってはシャレになってないのだけども。

内容自体はとてもおもしろいし、登場人物の一人であるレイジの過去の描写などは重厚で、ただのコメディではない人物の厚みを感じさせてくれる。また、大人・子供問わず、登場人物たちの心の揺れは、共感する部分も多く、じんとくるシーンも多かった。

ただ、確かに下着や裸の描写は無闇に多い。問題になりそうなシーンはいくつかあったし、それが物語上必要なものとも認められなかった。

はっきり言えば、幼女趣味を持つ変態さんを喜ばせるためだけのシーン、という誹りを受けても擁護しかねる部分がある、ということだ。

物語自体に文句を付けるつもりもないし、むしろ子供に振り回されたり癒されたりするところなど、秀作と言ってもいい代物である。ただ、ありていに言えば「無駄にエロい」ということである。もちろんそういう要素が悪いとは言わないが、問題なのはそれが子供を使ってるということだ。

「物語自体がすばらしい」からこそ、無闇に児童の性的虐待を想起させるような描写は謹むべきだ。本人が嫌がってなければ虐待じゃないと思う愚か者もいるかもしれないが、嫌がってないならそれが尚更ひどい虐待であることは知っておくべきだろう。

俺はもちろん表現の自由は最大限確保すべしという立場である。だが同時に子供を性の対象とするような輩は断じて許さないという立場でもある。これは身近に子供がいる人間としては当然すぎる事だろう。

何度も言うが、ストーリー自体は悪くないのだ。だからこそ深読みすると存在するようにも取れる性的虐待に、読者の思考を向かせるべきではない。

もし実際に作中に暗に性的虐待が描かれてるとしたら、そして「マセガキ」の理由がそこにあるとしたら、この「こどものじかん」という作品は最低最悪の漫画になってしまう。

これでは北米での発売中止もしかたあるまい。国内での発売中止すら検討されてもおかしくない。性的虐待はあるけど幸せそうに暮らしてますみたいな作品が世間に認められるはずはないだろう。現実の被害者を嘲笑うようなものだ。

だから俺は──こんな事を思うのは生まれて初めての事であるが──この作品は修正されるべきだと思う。子供の性的虐待など存在しようがないように、表現を改めるべきだ。 「こどものじかん」という漫画は、「深読みさえしなければ」、すばらしい作品なのだから。

(@648)

追記:

ついでだから具体的に、深読みすると性的虐待が存在するようにも取れるシーンをいくつかあげておこう。俺が気付いたところだけなので、北米では他にも問題とされるシーンがあるのかもしれない。

  • 2巻75P〜78P。性的虐待の前後とも取れるシーンがある。
  • ネタ元にもあるが3巻129P〜131P。性交に及んだようにも見えなくはない。

この他にも3巻には「性的虐待」という言葉を用いてその存在を疑うシーンもあるが、ここらへんは微妙。心理描写の範疇と考えるべきかもしれないが、それを言いだすと作品全体がやっぱ微妙ってことになりそう。

(@699)

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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