狐の王国


2007年02月06日(火) [過去の今日]

#2 ネットでばら撒いても本は売れる

痛いニュース などで話題のドラえもん同人誌の販売中止と損害賠償を小学館が命令した事件。

話を聞いたときは「まあ儲けすぎたせいかな」くらいにしか思ってなかったのだが、あとから俺もネットで見たことがある作品だということに気付いた。

そう、全16ページがネットで公開されていたのである。

なのに、本は1万5500部も出荷されていたという。

ネットでタダで読めるコンテンツに、なぜそれだけの人がお金を出したのか。むしろネットで評判になってさらに売れるようになったとも聞く。そこに着目する必要があるんじゃないのか?

本の中身を無料でばら撒いたところで、本は売れるのだ。まずその事を認識してもらいたい。

これはおそらく、だが……。物理的なアイテムを買う、という行動に出る人は、手元に置いておきたいという欲求や、コンテンツそのものだけでなく装丁やその他の部分にも価値を見出すタイプの人なのではなかろうか。 そうでない人が本やCDを買うと、「飽きたら売る」という行動に出る。これが中古販売に繋がってるのではないか?

古本、中古CDでは著作権者に利益は無い。だったら無料でコンテンツをばら撒いても同じではないか? 中古市場に流れている分だけ売れなくなるかもしれないが、何も生み出してない人間に儲けさせたくないのであれば、無料でばら撒くのが一番なのかもしれない。

本気で、俺はそう思う。

儲かってる人たち:

このドラえもん同人誌の作者である 田島・T・安恵さんの名前でYahoo!オークションを検索する と、当該同人誌に4万円もの高値がついてるのも見受けられる。 小学館の販売中止命令によって得をしたのは、何を創作したわけでもないこういう転売屋だけだ。

実際のところ、この作品はすばらしいものだ。ドラえもんの二次創作としてこれ以上のものは無いだろう。というか、実は(ネットにはまだ残ってるので)読み返してまた涙が止まらなくなってるところである。正直言えば、アニメ化してほしいくらいだ。

二次創作とはいえ、そういう作品を生み出した事に、もっと正当な評価が与えられるべきだ。漫画だけでなく、音楽の世界でもリミックスという二次創作の文化が存在している。これらの中にもすばらしい作品が数多くある。

せめて一定の利益を生み出したら原著作者に支払うという方向で、個人活動だけでも合法的に認めてもらいたい。というか、そうでなければ「目立たないようにこそこそやりましょう」というような今の風潮が続くことになる。だから 無断リンク禁止だとかいう変な話 にもなりがちだし、グレーゾーンで若いクリエイターたちを育てなきゃならなくなる。

健全な文化活動のためにも、二次創作は最大限自由に合法化されなきゃいけない。

(@552)

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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