2004年08月28日(土) [過去の今日]
久しぶりにHAYATEを読み返した。92年〜94年という、まだプライベーターたちが夢を見られていた時代を舞台にしたF1漫画。読み返して思ったが、現代のF1では考えられないことばかりだ。イギリスにファクトリーを持つ日本のプライベーターチーム「レラ」、イルモアV10をベースに強力なエンジンを作って来るチューニングメーカー「スプレンダー」、パワーだけなら誰にも負けないプライベーターエンジンメーカー(!)「カムイ」。フェラーリのような特殊な体制でも整えない限り、現代では絶対にありえないプライベーターたち。この時代だからこそ、その存在にリアリティがあった。
主人公日向俊郎はミハエル・シューマッハと同い年。92年鈴鹿でF1にデビューする。その日向が目標とする"魔術師"アレックス・バトラーはフォードカスタマーで上位に食い込む。どんな走りも真似してみせるコピー職人ルドルフ・マイネ、賞金稼ぎのランディ・ブロッツァー、そしてジョー・S・カジワラ。マンセルに、プロストに、セナに、最強の化け物たちにプライベーターのマシンを駆る彼らが襲いかかる。漫画だから、と言ってしまえば終りだが、彼らの活躍はシューマッハすら影に追いやってしまう。熱い、とてつもなく熱い。
日向やバトラーたちのうち、一人でも実在していてくれたなら、今のシューマッハとフェラーリの独走は無かっただろう。今では夢見ることすら許されない、プライベーターのF1物語。そういう意味では、果てしなく切ない漫画だ。
この漫画の事を書くにあたって検索をかけてみたのだが、どうやら廃刊になっているらしい。これは惜しい。奇蹟のような時代の、奇蹟のようなこの作品を、今新たなF1ファンたちに読んでもらえないなんて。
しかし、この熱病にうかされた人間は俺だけではないようだ。 復刊.comに復刊リクエスト が出ている。もちろんすぐ投票した。HAYATEファン、F1ファンを見掛けたら教えてあげてほしい。もちろん、熱血バトルが大好きな人も。復刊の暁には、ぜひご一読あらんことを。
(@295)