狐の王国


2004年05月19日(水) [過去の今日]

#3 パブリックP2P

切込隊長、文章うまいなあ。とりあえず読んどけって感じの文章。

ともあれ、昨今考えてたことを別の視点から描いてくれたのでかなり溜飲が下がった。こちらが持ってた視点というのは、「アーティストの生活・創作の基盤を維持できるファンの数は何人が妥当か」という視点。ある程度の淘汰は必要だろうが、数千人いれば充分維持可能なシステム作りが必要なのかな、と思いつつ脳味噌をこねていた。

例えば音楽CDのアルバム1枚を2000円で売ったとして、3000人のファンがいれば600万円の売り上げが発生するわけだ。数千枚のCDなら数十万円でプレスから印刷までやってくれる業者もある。録音等の費用を考えても経費は100〜150万程で済むだろう。残りのおよそ500万はアーティストで分配できる。一人で作詞作曲から歌唱までやるアーティストなら、これで1年くらいは食えてしまう収入ではないか。

しかし、現実には3000枚程度の売り上げしか見込めないのでは、メジャーデビューは程遠い。それは当然流通コストがかかるからだ。営業にも金がかかる。 WinnyにはBBSという口コミの場があり、ファイル交換という流通の場がある。営業も流通もそこでできるのだ。しかもコストはほとんどゼロに等しい。問題はそこからどうやって金を払ってもらうかであるが、これも47氏の残したメッセージの中にヒントがある。「前払い制」だ。

前払いならば金額が一定に達するまでリリースされないし、コピーのされようもない。利益が出てからリリースすればいいのである。既に利益が出てるのだから、コピーされたとしても痛手はない。むしろ次の作品に向かっていい宣伝になる。コピーが出回るまで待つようなユーザーばかりになってしまったら、次の作品は出ないだけのこと。わかりやすく、明確なロジックがそこにある。

大衆というのはそんなに頭のいいものではない。難しい著作権法だのライセンスだのを読んでる暇も無い。彼らはやっていいことと悪いことを、自分の常識である程度判断する。見そびれたドラマを録画した友人からもらうのと、Winnyで落すことのどこが違うのかと考えているに違いない。コンピュータとインターネットの登場で、コピーは遥かに簡単になった。しかし、コピーをすると次の作品が聞けなくなるとは誰も思ってない。収益構造が見えにくいからだ。

前払い制は収益構造を見えやすくし、自分の行動が作品のリリースに直結することを実感させる。この前提で新しいビジネスモデルを構築すべきではないだろうか。オープンソースがそうであったように、クリエイティブコモンズ側がこの構築を担ってくれると嬉しいのだが。

(@596)

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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