TeXで原稿用紙印刷を

原稿用紙、それは最後のフロンティア。これは狐志庵こと菅野善久が、21世紀において任務を続行し、人類未到(じゃないけど)のTeXによる原稿用紙印刷に、勇敢に立ち向かった物語である。


The Challengers

少ないとは言えやはり需要はあるようで、 91年のfjに投稿されたgenkou.styそのパッチ を検索により発見する事ができた。しかし、さすがに古すぎて今のTeX環境とずれがあるのか、セクションを作るなどすると表示がずれてよろしくない。

しかし、ふと @nifty をのぞいてみると、TeXフォーラムなるものが。もしやと思いライブラリを検索してみれば、あったあった、ありました、fgenko10.lzh! しかしこれはWindowsのTeX環境用に作られたもののようで、すぐに使えるわけではなかった。その時の作業記録をここに残しておく。

Setup

まずは入手先。これはTeXフォーラムのライブラリにしか無いみたいだ。しかし、readmeには改変再配付は自由、とある。作者に連絡もいらないとのことだし、そういうことならうちのサイトにも置いておく事にしよう。

さて、これはWindows用のマクロなので、最初に読むべきg-readme.texもマクロ内部で使われてる日本語も各種サンプルもすべてShift_JISで書かれている。なのでまずはJISに変換してしまおう。

$ qkc -j -ma *

えらい乱暴ではあるが、バイナリは無視してくれるようなのでこれで問題あるまい。俺はTeXは本当に始めたばかりの初心者なので、どれがテキストなのかわからなかったというのもある。本来ならfileコマンド等でテキストを見付けて、nkf等で処理すべきだろう。

さて、文字コードの変換が終ればg-readme.texをplatexでコンパイルできるはずだ。その内容に従ってファイルをコピーするのだが、めんどくさいのでMakefileを書いた。上の「インストール用Makefile」がそれだ。Makefileという名前でアーカイブが展開されたディレクトリに置けば、make一発でコピーが終る。あとは、

# mktexlsr

を実行。これでコンパイル自体は通るのだが、dviが表示できない。マクロ内で使用してる、gmin10、gtminの代替フォントを教えてやらなければならないようだ。

# cat >>/etc/texmf/vfontmap
gmin10 min
gtmin min

これでysample.texをplatexでコンパイルしてxdviで見てみよう。400字詰め原稿用紙にきれいに桝目におさまった文字が見えるはずだ。さらにpsやpdfに変換すれば、美しい緑の枠線が見える。

The Problem

勘のいい方はお気づきだろうが、gmin10は横書き用フォント、gtminは縦書き用フォントである。これを同じminにしてしまってはいけないのではないかと思われるだろう。その通り、いけないのである。

しかし、うちの環境(debian GNU/Linux sid)では縦書き用フォントがどうしても出なかった。反時計回りに90度回ったフォントが欲しいわけだが、/etc/vfontcapにro#3などと指定したフォントを用意してもうまくいかず、かなり挫折ギミ。当座は横書きで問題ないので、しばらく放置する事にした。なのでgtminもminでゴゥなのだ。この問題さえ解決すればdebianパッケージなども作ってみたかったのだが。

さらに、字下げを行うと小説などでよく使われるセリフなどの鈎括弧も字下げされてしまう。これはマクロの問題と言うよりTeXの問題か。いい解決法は無いものかのう。

Thanks

素晴らしいマクロfgenko10.lzhを作ってくださった作者さんに
UNIX環境でのセットアップを教えてくださった@niftyのTeXフォーラムのみなさんに
心から感謝いたします。
ありがとうございました!


Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) <koshian@misao.gr.jp>
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