2007年07月16日(月) [過去の今日]
#1 ステルス広告と強制視聴広告はどちらがマシだろうか
フジテレビ、自局前での丸川珠代の演説に激怒 「聞いてない」「ここでやるなら自殺する」「ホント迷惑だ」 という痛いニュースの記事。 この記事は選挙演説のウザさについてだが、これを広告手法として捉えてみると、実に効果的なのだということに気付いた。
確かに選挙カーの演説はウザい。ホントにウザい。逆に投票したくなくなるくらいウザい。
が、こういう「強制的に聞かせる」というのは実はとても効果的なようなのである。
音楽の広告を思い出してみよう。あれはTVやラジオなどでがんがんかける事で、街や茶の間にその音楽を強制的に流させる広告だ。そうやって曲自体の認知度を高めていく。「知ってる感」を感じさせていく。
そしてそれが実際にヒットに繋がって来たではないか。
テレビのCMもそうだ。CM中にチャンネルを変えさせない技法がどんどん発達して来た。視聴者もめんどくさくなって、なんとなくCM明けをぼーっと待つ。その間に強制的にCMを見させる。
そうすることで、商品を選ぶ際、「なんとなく知ってる」という「知ってる感」のある商品を選びやすくさせているわけだ。
みんな名前も聞いたことも無いような物を買うよりは、テレビやCMで名前くらいは聞いたことのあるものを選ぶ。知らないメーカーより知ってるメーカー、知らない商品より知ってる商品なのだ。
特にこだわりが無く、どれを買っても大差無いようなジャンルなら余計そうだ。
だからウザかろうがなんだろうが、目立つところで大量の人間に「強制的に視聴させる」広告が無くならない。
対して、最近問題視されてる ステルス・マーケティング という広告手法がある。これは「強制視聴広告」とはまったく別のもので、日常の中に広告を埋もれさせる。広告を受けた消費者は、それが広告である事にすら気付かない。
具体的には アメリカの口コミマーケティングは恐ろしすぎるwww という記事に詳しい。
喫茶店でゲームに興じて、誰かが興味をもったら実際にやらせてみる、というゲームのステルス広告。「写真撮ってもらえますか」とカメラを渡し、撮影してもらうというカメラのステルス広告などなどの事例が紹介されている。
もちろんアルバイトを雇い、「ユーザーに体験させる」技術を身につけさせ、街に送り込むのである。
確かにこれならさほどウザくもない。街を歩くたびに写真撮ってと言われたらウザくもなってくるが、さすがにそこまで大量のアルバイトは雇えまい。
しかし、口コミを装った広告というのもいかがなものか、という気はする。
だが、どちらにせよ、商品には宣伝が必要だ。どんな良質の商品でも、広告を打たねば知ってすらもらえない。口コミで広がるのを待っていたら、その前にお金が途絶えて商品を売り続けることもできなくなるだろう。
だから広告を無くす事は、この問題が解決しないかぎりは無理だろう。結局広告はどこかに現れることになる。 広告の存在自体が苦痛 などと言う人もいるようだが、その広告があることによって得られる消費者の利益もあるのだ。あたりまえの事だが、広告無くしてテレビの無料放送はあり得ないし、ウェブサイトも広告で持ってる所がたくさんある。
そういうわけで、結局我々消費者は、ウザい広告か口コミ偽装広告かを選ばなくてはならないわけだ。
さあ、あなたは「強制視聴広告」と「ステルス広告」、どちらを選びますか?
(@300)