狐の王国


2007年07月08日() [過去の今日]

#1 ネットは善意で溢れている、暴力的なほどに

Web2.0な監視社会? という記事。 通信インフラと機材、そしてウェブサービスが浸透したことで、 個人レベルで監視+記録+発信+転載ができる という話。

人々は、「善」なんだろうか。私はここまで楽観的にはなれないし、悪意の吹きだまりのような場所が、ネット上にあることも知っている。「Web2.0」はそうした悪意すら、大量に乗せて走っていくはずではないのか。

俺はそうは思わない。悪意の吹き溜りなんてところがあるなら、教えて欲しい。

一見「悪意だらけ」に見える場所ならいくつか知っている。例えば Yahoo!掲示板の海外ニュースカテゴリ などは韓国嫌いの温床だし、2ch界隈で行われる「祭り」なども、悪意に見えることもあるだろう。

だが、これらは悪意ではない。前にも書いた記憶があるが、むしろ「善意の暴走」なのである。

誰かが「悪い事をしている」、その点を見て「許せない」という気持ちが、そのまま発露され、行動に繋がる。それが2chの「祭り」の正体であり、ネットに溢れる韓国嫌いたちの行動理由なのである。

もちろん行き過ぎはある。善意からの行動とはいえ、暴走しているのだから行き過ぎてるのはあたりまえだ。が、逆に考えてみれば、民意がそのまま反映されてるとも言えるかもしれない。

こういう暴走を止める事ができるのは、一人一人の教養レベルの向上以外にはあり得ないだろう。幼稚な正義感が人を傷付けるというのは昔からあったことだが、それがネットの力で発露しやすくなっている、というのが問題の中心であるからだ。

そのためには、教育システムを改善しなきゃいけない。教員のレベルもあげなくてはならない。しかし、時代があまりに速く進みすぎていて、追いつかない。これがネット周辺で起きてる事件の本質だと、俺は考えている。

だが、光はある。ネットは正義感が暴走しやすい場所ではあるが、ネットの本質は大量の情報を短時間で吸収できることにある。ネットに参加し、ネットの議論を読み、またその議論に加わることで、人間の教養レベルはものすごい速度で成長する。 羽生善治氏の言う「高速道路」 がそこにはある。本格的な教養を身につける前段階くらいの知識は、この高速道路に乗ることであっという間に身につくだろう。

ネットの問題はネットしか解決できない。ネットのスピードについていけるのもネットだけだからだ。

だから俺はよく人に「ネットを読め」「ネットに参加しろ」と言う。今のように携帯電話でチラ見する程度じゃなく、本格的にネットを情報収集ツールとして使えと。

もちろん今のブラウザやRSSリーダーは、まだまだマニア向けすぎる嫌いはある。それを解決する方法は、俺も考えている。いくつかアイデアはあるし、少しずつではあるが作り始めている。

そういう行動をしてる人は、もちろん俺だけではないはず。もっともっとたくさんの人が、ネットをもっと活用しやすくするための努力を続けてるはずだ。

だから俺は楽観している。今は暴走しがちな善意も、ネットに参加していくことで、次第に落ち着いていくはずだ。人間には、正しい方向に向かおうとする力が備わっているのだから。

(@516)

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Sugano "狐志庵" Yoshihisa(E) @ 美紗緒ネットワーク <koshian@misao.gr.jp>
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