2006年03月17日(金) [過去の今日]
#3 いい加減な妄想垂れ流すだけで悪魔の証明を迫られる例
こないだの民主党の若いのが垂れ流したガセメールもそうだったが、よく考えもせずに 悪魔の証明 を迫っちゃう例がこの日本には後を絶たないのだなあ。
個人ジャーナリストとして新しい形のジャーナリズムを模索してる grip blog の立ち上げに協力していた方が、 元オウム信者の「友人の友人で、少し話をしたことがある」 というだけでオウム信者と疑われ、 警察から悪魔の証明を迫られた そうだ。
相談の席についた担当刑事の第一声が「まず、あなたがオウム信者でないことを警察に証明してください」です。
方法を聞くと、しばらく答えに窮し、出てきた回答は「オウム道場へ行って書面であなたはオウム信者ではありませんとの証明書を書いてもらってきてくれ」と。
これは笑い話ではなく本当の事です。
ホントに笑い話かと思ってしまうな。
さらにgrip blogの著者である泉あい氏までも サリン事件で指名手配中の菊池直子に似てる というこれまたどう見てもいい加減な話で、泉氏は精神的苦痛から活動を一時停止してるそうだ。
こう、日本は発言の自由というものに不慣れなのかな、という気がする。「嘘を嘘と見抜けない人には難しい」という有名な言葉があるが、誰でも自由に発言できるということは、誰でも自由にデマを流せるという事なのだが。
俺は 404 Blog Not Found や 備忘録ことのはインフォーマル のように、明確にデマだと断定する材料も持ってないし、そのデマを流した人間を非難するつもりもない。名誉毀損で訴えられるくらいの覚悟はあるからそういう情報をネットに流したんだろう。だったら堂々とやればいい。もしそうでないならただのバカだ。
問題はデマを流された人間がきちんと法的手続きを取ろうというのに、警察が自ら悪魔の証明を被害者に求めてしまうような教養の無さだ。
実はもう一つ問題がある。匿名者と実名者の力関係だ。これは圧倒的に匿名者が強い。現状では匿名者を実名者に変換するためには、ISPの協力が不可欠である。ISPが顧客の個人情報を開示するには通常法的効力が必要で、つまりは警察・裁判所が被害届け等をきちんと処理しないと始まらない。そして、警察にそもそも教養が無いという事態があるということだ。これでは匿名者が圧倒的な力を持つのは当然である。
匿名は匿名で重要なものだし、匿名発言の機会は必ず用意されてなければならない。しかし、だからこそ悪魔の証明などに頼らず事実を確認するだけの教養が求められる。これは警察だけではなく、一般市民にもだ。それができなければ、匿名発言そのものを糾弾する、近代国家とはかけ離れた姿になるしかないのではないだろうか。
(@832)